「眠くなるのは、胃袋に血液が集中して、脳に流れる血液が減る」
…と言われますが、は正確には嘘。
食べ物を消化するために、インスリンが分泌されて副交感神経が優位になるため、眠気が増すんですね。
副交感神経が優位になるとリラックスして眠くなり、消化管の働きが促進されます。
緊張・興奮のときに働くのが交感神経で、リラックスすると働くのが副交感神経です。
なにか、交感神経を優位にして、眠気を覚ます方法はあるんでしょうか?
「ガムを噛むと、交感神経が優位になるか?」
を真面目に調べた論文があります。
硬めのガムを噛むと、交感神経が刺激されるという結論が出ていました。
「噛む動きをする」よりも、実際に何か弾力のあるものを噛むほうが、交感神経が刺激されるとあります。
ただし、消化器系が働く副交感神経優位をひっくり返すほど強力なものではないので、あくまで「マシになる程度」。
目を覚ますなら、体全体を使って運動するのが有効です。
たしかに経験上、飲み過ぎて終電をのがした時、歩いていたら一向に眠くならなかったことがあります。
とは言え、昼食後の眠気覚ましのために、会社で派手に運動するわけには行かないですよね。
どちらかというと、眠気を予防する方法を考えたほうが良いのかも知れません。
血糖値を上げないためには、糖質制限よりも「スローカロリー」を心がけることがポイント。
食べてから腸で消化されるまでの時間が長い食べ物を意識して摂ることで、血糖値が上がりにくくなるんですね。
この論文では、そういう食べ物を「スローカロリー」と呼んでいます。
スローカロリー理論に沿って、京都の和菓子屋と協力して作られた京菓子があります。
使われている甘味料の一部をゆっくり消化吸収される糖に置き換えています。
例えば、京都くりやの水無月。
水無月食べて、今年残り半年の無病息災を祈願致します。#京都くりや pic.twitter.com/zBDkeqO8fY
— 大西将太@大西京扇堂 (@onishikyosendo2) June 30, 2019
京都では、6月30日に、水無月を食べるということが習慣化しているのだとか。
くりやの水無月 : 京都グルメタクシー おいしい京都
(一部のひとだけ?)
くりや(元祖 栗納豆本家)|公式ホームページ
他にも、舟屋秋月の木守りや、笹屋吉清のミルク餡入りアマニ焼き菓子が作られたのだそうです。
血糖値を爆上げする代表のお菓子で、血糖値を上げないようにしたのが凄い!
だけどやっぱり、「甘いもの食べないほうが、上がらないでしょ?」っていうことで、あまり定着しなかったのかな…。
血糖値を上げない食べ物と言えば「低GI食品」
例えば、血糖値の変化をゆるやかにする食べ物は、GI値が低い海藻や玄米など。
血糖値に悪い食べ物は、ケーキやパイ、揚げ物系のお菓子です。
しかし、GIという指標は血糖値の上がりやすさだけを示したもので、「量」の概念がないんですね。
GIを発展させて、糖質量(カーボカウント)を考慮したのがGL値。
食材100gあたりの、血糖値の上がり安さを示しているんですね。
例えば、GL値が高いのは、パンよりもご飯です。
GL値で比較すると、白米の方が小麦より高GL値になるんですね。
テレビでも「食べ順ダイエット」として紹介されて有名になっていましたね。
食後の血糖値を上げない方法は、「食べ順ダイエット」の食べ方が有効です。
まず食物繊維を多く含んだ野菜を食べます。
次に、たんぱく質(肉や魚)を食べます。
最後に炭水化物(米やパン)を食べると、腸での糖質の吸収がゆっくりになるんですね。
野菜、鶏のからあげ、ご飯を食べたときの血糖値を調べた論文があります。
面白いのは、「野菜→唐揚げ→ごはん」以外に「野菜→ごはん」、「肉→ごはん」、「ごはんだけ」を食べた時の血糖値を調査してるんです。
食べる順番による血糖値および尿中インスリン量の変動に関する研究
結果は、以下の順で血糖値の上昇が大きくなりました。
なんと、ご飯だけ食べるのが一番、血糖値を上げるんですね。
「時間がないから、おにぎりだけ」というのは最悪ということになります。
そして、びっくりしたのは、「野菜→ごはん」の血糖値上昇。
ダイエットのために「サラダとおにぎりだけ」というのは、血糖値が上がって太りやすいんですね。
ガーン!
結局、野菜→肉→ごはんの順番で食べるのが、一番血糖値上昇が抑えられるんです。
食後の眠気を抑えるためにも、ダイエットのためにも、野菜、肉(または魚)、ごはんをセットで食べましょう。
血糖値をあげないように注意していても、実際の血糖値はどうなのか?
毎食後、血液検査するわけにもいかないし、血糖値の上昇が抑えられてるか、確認する方法ないんじゃないの?
って、不安になりますよね。
実は、健康診断の項目には「血糖値」の他に、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という項目があります。
実は、HbA1cという項目は、血糖値と違って、過去1~2か月の血糖の平均がわかるんですね。
血糖値とHbA1cについてー糖尿病の検査値|MFSメディカルフードサービス
食後の血糖値上昇を抑えていると、血糖の平均値が下がってきます。
つまり、2ヶ月に1回のペースで血液検査を受ければ、血糖値上昇が抑えられてるかどうかチェックできる!
検査前だけ気をつけてる人は、「血糖値は下がったけど、HbA1cは上がった」という結果になってしまいます。
普段の食生活の乱れがバレちゃうんですね…。
ちなみに、HbA1cは4.7%~6.2%%が正常。
過去、HbA1cには、日本独自の基準JDS値と国際基準NGSP値がありました。
古い資料では2つの値が書かれていることがあります。しかし、平成25年以降は、国際基準のNGSP値が採用されています。
参考)HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)ってなに? | | 国立循環器病研究センター病院 ←2012年の古い資料
JDS値のほうは、気にしなくて良いでしょう。
HbA1cは高すぎても、低すぎてもいけないので、バランスを摂ることが重要です。
糖尿病は怖い、ということはよく知られていますが、低血糖症はどういうものなんでしょうか?
人間の体は、低血糖状態にならないよう、何重もの予防線が張られています。血糖値が下がるごとに低血糖を防ぐためのホルモンが分泌されるんですね。
実は低血糖になりやすいのは、糖尿病の薬物治療をしているときです。
低血糖を何度か繰り返すと、体のセンサーが鈍くなり、低血糖になっていることに気づけなくなります。
そこが恐ろしい。
通常、手の震えや、冷や汗などの低血糖症状で「あ、低血糖だ」と気づいて、グルカゴン注射などで対処できます。(処方されている、家庭用の注射)
ちなみに、血糖を下げるのがインスリン注射、血糖を上げるのがグルカゴン注射です。
自分で気づけない、無自覚低血糖になると、急に意識を失い、低血糖性昏睡になることがあるんですね。
これ、めちゃくちゃ怖くないですか?
何をしているときでも、急に意識を失ったら、まずいでしょう。
平成14年以降は、無自覚性低血糖が起こる可能性がある場合は、運転免許の更新時に申告が必要になっています。
「無自覚性低血糖症」を示す者の運転免許証の申請について(理事会見解):日本糖尿病学会 The Japan Diabetes Society